Deep Black BoxAIのブラックボックスを、1問ずつ開けて手で動かす。全21問。
Question 14

2つの語を、同時に見る

緑の4語にがあります(問13 と同じ向きです)。 「新聞が」が探しものを出し、札と向きを比べます。
目標 ── 2段あります

前半 1本で、低いほうを いちばん高く してください (0.250 まで上がります)

後半 2本にして、コーヒー と 新聞 を どちらも 半分より上 に

どちらも この問題で そう置いた値です。 後半の「半分より上」は 問13 と同じ物差しです。
探しものは何本でも並べられます。その1本を ヘッド と呼びます(原論文は8本)。
札(黒)と探しもの1(赤)
1本目の取り分(4つを足すと 1)
札(黒)と探しもの2(赤)
2本目の取り分(4つを足すと 1)
↓ その重みで中身を混ぜた結果 = 次の1語
本物は、注目のあとに もう1段(掛けて足す)があって、そこで「両方そろったこと」を見ています (問1・下の締めの図の④)。この問題では、その1段を省いて 直接3本目の棒を出しています。 3本目の点数は2つの取り分を掛けた値から作ってあり、 低いほうが 0.500 を超えたときだけ、3本目がいちばん高くなります
0.250 が1本の限界です。どの語も選んでいない ── 4語を平等に見た状態です。
取り分の合計は 1 なので、2つの語が どちらも半分を超えることは、 札をどこに置いても起こりません。 14,801通り 全部 数えて 0通りでした。
2語を同時に狙おうとすると、何も選ばないのが最善になってしまうのです。
ここから ずっと上に戻ってください。[1本目の枠]のいちばん上[探しもの 2本]のボタンがあります。 それを押して、コーヒーと新聞を どちらも 半分より上にしてください。
この問で覚えること
ここでやったのは マルチヘッド注意(Multi-Head Attention)です。 1本の注目は「重みつきの平均」なので、 2つの語を同時に強く見られません。だから本数を増やします。 増えたのは能力ではなく本数です。
1本では、2つの語のどちらも 半分(0.500)を超えられません。 札をどこに置いても起こりません(すべて数えて 0通り)。
帯が1本なので、取り合いになる
探しもの 1本(ヘッド1本) 1本目 コーヒー 0.511 新聞 0.081 机 0.204 手 0.204 探しもの 2本(ヘッド2本) 1本目 コーヒー 0.511 2本目 新聞 0.511
帯は長さ 1 で固定。「コーヒー」を 0.511 に上げた分、「新聞」は 0.081 に落ちます。 2本目で新聞を狙えば、そちらで 0.511 を採れます。
原典
単一ヘッドでは平均化がこれを阻害する Fig.4 の対象語は 'its'head 5 が 'Law'、 head 6 が 'application' を見ています ── 2ヘッドの分業です。 Isolated attentions from just the word 'its'
2本のときは、その語を【よく見ているほうの本】の数字を採ります。 本物は、2本の答えを並べて次の段へ渡します(Concat して掛けて足す)。 この問題では、よく見ているほうを採る形にしています。 どちらも「2本ぶんの情報が残る」という点は同じです。
役に立つところ
ヘッドを増やすのは、別々の語を同時に見るためです。 1本だと取り分を取り合ってしまい、2つの語を同時に強く見ることができないからです。
ここまでで見たもの

Transformer のブロック

コーヒー新聞それが
① 注目 ●←→●←→●←→●
この章 = 新しいのはここだけ
⊕ ② 飛び越す道 問10
③ 正規化 問7
④ 掛けて足す(各語の中で) 問1(y = a × 時間 + b)・問6
⊕ ② 飛び越す道 / ③ 正規化
▼ これを N段(原論文は 6段)

新しいのは ① 注目だけ。②③④ は 第1章と 第2章で触った部品です。
注目は語の順番を見ません。だから入口で順番の印を足します(位置エンコーディング)。 足さないと「手がコーヒーに」と「コーヒーが手に」の区別が消えます。
昔(RNN)は1語ずつ順に処理していました。 だから題は "Attention Is All You Need" = RNN は要らない、です。

原典
LayerNorm( x + Sublayer(x) )
注目は「理解」ではなく重みつきの平均で、なぜ学習がその W を見つけるのかは分かっていません。
よく見る説明のうち、原論文に無いもの
何本にするか、1本が何をするかは、よく誤解されています。
よく見る説明原論文では
「it → animal」の可視化図 ありません。"animal" は全文検索で0件
「ヘッド1が係り受け、ヘッド3が時制」 書かれていません。ヘッドにタスク名は付いていません
「ヘッドは多いほど強い」 逆もあります。1組は最良より 0.9 低いが、 32組(25.4)は 8組(25.8)より低い
「内積が最適な測り方」 原典が保留しています(Table 3 行B の考察)
言えるのは 個々の注意ヘッドが明確に異なるタスクを学ぶまでです (§4 末尾 / Table 3 行A)
この問題の作り(数値の出どころ)
もの出どころ
α = softmax(q·k / √d_k)z = Σ α vq = W_q x ほか
÷√d_k の理由(内積の分散は d_k)同 §3.2.1 脚注4
内積が最適とは考えていない同 Table 3 行B
単一ヘッドでは平均化が阻害する同 §3.2.2
1組は 0.9 低い/32組は8組より低い同 Table 3 行A ほか
Fig.4 の対象語は 'its'(Law と application を見ている)同 Figure 4
ブロックの式・位置エンコーディング同 §3.1 / §3.5, Table 3 行E
RNN は1語ずつ順に処理していた同 §1 / Table 1
なぜ賢く働くか分かっていない

この問題が置いたもの

語・点数・札の向き・中身は、全部この問題が置いた数字です。実測ではありません。 「LLM がこう出す」ではありません。該当するもの:問12 の6語と点数(東京 3.0 ほか)、 札の向き(コーヒー 0°/机 90°/新聞 180°/手 270°)、 中身(コーヒー→こぼれた 3.0/新聞→やぶれた 3.0)、目標値(半分より上 = 0.500 と、 問12 の 8.0回・2.5通り)。

同じ式に3語(猫 0°/が 90°/それ 60°)を入れて向き 0° にすると 0.456 / 0.225 / 0.320。資料 第1部§6 の作例(0.46 / 0.22 / 0.32)と一致します。

簡略化していること

本物は d_k = 64 を 8組、語は数万個。ここでは2次元・4語・最大2組で、 札は W の学習ではなく手で置いています。