Deep Black BoxAIのブラックボックスを、1問ずつ開けて手で動かす。全21問。
Question 21

上げるほど、下がる場所がある

ここから使うのは 決定木 という別のやり方です

決定木(けっていぎ)= 「はい/いいえ」で答える質問を並べた木です。ここまで あなたが手でやっていたこと (列で分ける → 帯ごとに多いほうを答える)を、機械が自分で繰り返します。

第1章〜第4章の勾配降下とは 別の仕組みです。 あちらはつまみを少しずつ動かして、ずれが下がる向きへ進むものでした。 決定木は切れ目の候補を全部 並べて、いちばん良いものを選ぶだけ。少しずつ動きません。
表のかたちのデータでは、この決定木が定番です。 深層学習が何にでも効くわけではありません。

問19 でやったこと ── どの組にも 同じ質問を、順番に足していく
決定木がやること ── 分かれた先で、その場でいちばん効く質問を選び直す
いま「効く」と書いたのは、この意味です。 機械が測っているのは当たった人数ではありません迷いがどれだけ減るかです。

「迷い」を数で表す

組の中が半々に近いほど、迷いは大きい。全員が同じなら迷いは 0。

p=その組で生存だった割合、q=死亡だった割合(p + q = 1)。 log₂ は「2を何乗したらその数になるか」です。式の中身は覚えなくてかまいません。 半々なら 1.00、片寄るほど 0 に近づく── それだけ分かれば足ります。

質問を1つすると、迷いはどれだけ減るか

割った先の迷いを人数で重みを付けて平均し、割る前から引きます。 これが「効き」の物差しです。

人数の多い組の迷いを、重く数えます。891人のうち男は 577人(64.8%)なので、 男の迷いを 0.648 倍して数える、という意味です。

持っている15列を全部 測った結果(891人ぜんぶで)

「はい」の側/「いいえ」の側は、その質問で割ったときの人数です。 数の列(等級・運賃・年齢・家族の人数)は切れ目の候補を全部 試して、いちばん減る切れ目を選んでいます。

ここが引っかかるところです

1位の列で分けても、当たった人数は いちばんにはなりません。

機械は当たった人数を見ていません。迷いの減りだけを見ています。
それでよい理由は、質問を1回でやめないからです。迷いが小さい組にしておくと、 次の質問で効率よく削れます。1回目の4人は、2回目以降のために手放しています。

練習の点(891人) %
初見の点(見せていない人) %
つまみを右に動かしてください。
青=練習の点(答えを知っている891人)/ 赤=初見の点(作るときに1度も見ていない人)
いま 答えを出す先(葉)は 2 ── 帯1本が891人。縦線が葉の切れ目です
「初見の点」の測り方 ── 891人を5つに分け、1つを隠して残りで作り、隠したほうで採点します。 隠す塊を変えて5回まわし、その平均を出します
□=隠して採点する側(この5回で891人 全員が1度ずつ採点されます)。
5つの塊は生存率をそろえてあります(891人ぜんぶ 0.3838 に対し 0.3855 / 0.3820 / 0.3820 / 0.3820 / 0.3876)。
1回だけ測ると、隠す178人を変えるだけで 5.6ポイント 動きます。だから5回の平均で見ます。
last

モデルを変えても届かない。を変えるしかない

棒が初見の点。横線が5回の散らばり(標準偏差)。 作りがまったく違う4つが、同じ高さに並んでいます
いちばん上の2つ(ランダムフォレスト300本 と 決定木 深さ4)に、差があると言えますか
条件は2つ ── ⑴ 差の範囲(差の平均±ばらつき)が 0 をまたがない ⑵ 5回とも同じ向き
どちらかを押してください。
左=この問題(作ったのは人。名前が付いていて、何を見ているか分かる)/ 右=LLM(1つの語を 12,288個の数字に置きかえる。その数字も学習で決まるどの数字が何を表すのか 名前が無い
役に立つところ
練習の点だけ見ていても分かりません。必ず、一度も見ていないデータで測ります。
そして、点を上げたくなったら モデルを替えるより、渡す列を作るほうが効きます。

数字はすべて公開データ(Kaggle の Titanic)の実測値です。問18〜21 は練習891人で数えました。 初見の点は 891人を5つに分けて5回まわした平均です。